ゆきずりの地縛霊
学生の頃よく夜遊びをしていました。
門限を破ると鍵を閉められます。
それでも私の夜遊びが治らないので兄は私を部屋に入れてくれませんでした。
その当時、母は水商売をしていたので夜中の2時に帰ってくることを想定し、母が帰ってきたら中へ入れてもらおうとドアの前で我慢してました。
すると階段をコトコト上がってくる音がしました。
こんな夜更けに帰ってくるのはうちの母くらいなもので、やっと家の中へ入れるとホッとしました。
周り階段だったので、途中迄降りていきました。
その時です。
目の前に頭から真っ赤な血を流した20歳になるかならないかの男性が立っていました。
一瞬後ずさりしたものの、一瞬でこの世のものではないことがわかりました。
何となく霊は重みがなく、やはり透き通っていて、体温が感じられない冷たい感じです。
そして、その男性の顔は怖くなくかすかに優しい顔をしていました。
少し、安堵と共に感じたことですが、まず
私の意識に飛び込んできたのは、真っ赤な血。
まだ自分が死んだことを理解していない事故死の霊でした。
「なんか用?」
と私は強気で男性の霊に向かって言いました。
すると、ゆっくりと背中を向け無言で去っていきました。
そういった、意味のない地縛霊はその辺に沢山います。
霊波が合うだけで、それらは目に入ってきます。
ただ怨念ばかり「うらめしや〜」ばかりの霊ばかりではないのです。